わたしの勉強している、北インド古典音楽の中でも、
【カヤール】という種類の古典音楽の構成は、
歌い手の独唱【アーラープ】のあと、
それはそれはゆっくりなテンポでタブラの「リズム」が入ってきます。
リズムのことを、「ターラ」と言います。語源は、手拍子です。
ターラは、西洋音楽の譜面のように、一方向へと進んでいるのではなく、
時計の針のように、ぐるぐると循環しています。
1拍目から始まり、1拍目で終わる。輪廻転生の思想のようです。
また、インド音楽のテンポ感は、驚きのスケールです。
たとえば、ボーカルでよく使われる、【ビランビット・エクタール】。
とてもゆっくりな12拍子、という意味です。
1周、つまり、1から12までに、1分を越えたりします。
かと思えば、1周3秒もかからないテンポもあります。
拍子も、16拍子、14拍子、10拍子、7拍子、などなど、たくさんのあり、
それぞれの拍子によって、基本的な叩き方が決まっています。
また、打楽器奏者は、ソロパートで、多彩な音色を繰り出し、
「ターラ」の世界を自由に飛び回り、ふたたび1拍目へと着地します。
しかし、その姿の裏側には、日々の練磨と緻密な計算があります。
「ターラ」の数学的なリズム感はとても面白く、いつも驚かされます。