2014年2月7日金曜日

サラスバティーの贈りもの


2月4日は、ヒンドゥー教の神様、サラスバティーのお祭りでした。
サラスバティーは、学問と音楽の神様です。
先生の家や、子供がいる家庭では、「プージャ(祈りの儀式)」をします。
街中色んな所に、色んな大きさの色んなサラスバティーの像が祀られます。
道行く人々、特に若者や子供たちはサリーやパンジャビドレス、クルタでお洒落して、友達とお出掛けしたり、先生の家を訪れたりします。

この日も、夕方コンサートがありました。
大御所兄弟ボーカリスト、ラジャン&サジャン・ミシュラさん。
タブラは、クマール・ボースさん。
ハルモニアムは、ルパシュリー姉さんでした。


ルパシュリー姉さんは、この日も一緒に会場に連れて行ってくれました。
楽屋で、ラジャンジーとサジャンジーに挨拶させてもらいました。

「私の名前はエリです」
と言ったらば、
「なんと、いい名前をもらったね」
と言ってくださいました。
とても嬉しかったです。



この日の一曲目のラーガは、Bhimpalasiでした。同じラーガでも、たくさんのバンディッシュ(テーマ曲)があるのですが、この日のビランビットエクタール(すごいゆっくりの12拍子)とティンタール(16拍子)は、私が先生から習ったバンディッシュだったので、聴き応えがありました。
二曲目にDhani、三曲目は私の大好きなBasant Bahar、春のラーガでした。コルカタもだんだんあったかくなってきました。それから、バジャンを2曲ほど。ボリューム満点、でもあっという間でした。



インド古典のデュエットは、二人で歌うというか、即興を一人ずつ回していきます。ラジャンジーが7割、サジャンジーが3割、くらい歌っていました。以前聴いた時もそうだったので、その時はサジャンジーが調子が悪いから今日は少なめに歌っているのかな、と思ったのですが、今回聴いて、このバランスって絶妙なのかもな。と感じました。なぜなら、即興音楽なので、ラジャンジーが主導権を握り、その場で構成を組み立てていき、サジャンジーはそれを聴いて着いていく。ということは、多分ですが、ラジャンジーは主観的に歌い進め、サジャンジーは少し客観的に着いていく。言葉で書くのは難しいですが、なんとも絶妙なのです。そして、時々おいしいところで出てくるサジャンジーの強いガマック(こぶしみたいな歌唱法)が印象的でした。さらに、声質の違いもデュエットの面白さだと思いました。

ふたりは空と海みたいでした。
ラジャンジーが空。歌が風のように吹き抜けていきます。自由に、どこまでも高く、どこまでも遠くへ。
その風に吹かれて波立つ海が、サジャンジー。ゆったりと、どっしりと、でも、風が強く吹けば、荒立つ波。
空の色が変われば、海も色を変えるように、ふたりは別々なのに、ひとつでした。

クマール・ボースさんも、ルパシュリー姉さんも、ボーカリストにぴったりと寄り添いながらもお洒落な伴奏を挟み込んで、とてもかっこ良かったです。ボーカリストから、次々飛び出す歌をじっと見つめるアカンパニストの目つきが、私はとても好きです。

またひとつ、素晴らしいコンサートを聴くことが出来て、本当に素敵なサラスバティープージャの日でした。

演奏の後、「ポンガシ、ポンガシ」と言いながらムリ(ポン菓子みたいなスナック)を食べているルパシュリー姉さんに、
「私のサラスバティーはルパシュリー、あなたです」
と言ったらば、
「いいえ、私はサラスバティーの乗り物です」
と答えた姉さんでした☆彡

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